PARARERU UMAN
とにかく彼女に言わなければいけないと思った。
「J子!」
「んー」
彼女はまたそれに夢中だった。
「またやってるの、飽きないね」
ストローを奪い取りながら私が言うと
「まあいつものこと」
と上の空で返してくる。毎日なんかだったらもう足し算なんか出来なくなっちゃいそうと私は想像してしまうのだけれど、158.7cm57kgの私と比べるとK子は悲しくなるくらい綺麗な体をしていた。
「いつもなのね」
「気付いたらあるよ」
「無くならないの?」
「おかしいわ、ない時には気付けないもの」
「うーん」
と私がうずくまっていると
「今度ストロー返してね」
笑いながらそう言って彼女は走り去ってしまった。